こんにちは。高岡氏です。
以前から何度か言ってきた、9/18(日)~9/24(土)にかけての北海道旅行についてのレポートをまとめていきます。
今回の主な目的は、
「抜海駅と宗谷本線沿線の観光」
です。
根室本線の新得~富良野間は、2016年の台風被災以降、列車不通状態が続いており、時期こそ未定なものの今年廃止が決まった区間です。現在は同区間で代行バスが運行されています。
一方の宗谷本線沿線は秘境駅ファンにはお馴染みの駅が多数あることで知られています。放っておくといつ廃止になってもおかしくない駅ばかりで、抜海駅も一時は廃止議論が行われていました。
1.9月18日~5度目の北の大地、上陸~
9/17(土)~9/25(日)は3連休が2週間続く、いわゆる「シルバーウイーク」と呼ばれる期間ですが、令和ちゃんは意地の悪い性格をしているのか、やたらと連休に台風をぶち当ててくる気がします。
9/18(日)、出発当日も台風による悪天候のため、西日本への航路はほとんど欠航となってしまう始末。
航行時は案の定そこそこな揺れがありました。
飛行機の揺れはほんと何回乗っても慣れません。赤ん坊が泣き始めると余計に恐怖が増してしまうので勘弁してほしいところですがしょうがないですね・・・。
というわけで、新千歳空港駅で、旅行ファンにはお馴染みの「HOKKAIDO LOVE!パス」を購入。JR北海道の普通列車、特急列車(指定席は4回のみ使用可能)に6日間乗り放題で12000円という反則級のフリーパスです。
発売期間は今年の12月末までとされていますが、売れ行き好調のため10月中には売り切れる見込みだそうで。
こちらは購入当日には使えないため、当日の目的地まで行くには別に乗車券を購入する必要があります。この日は新得に宿泊するので別途5240円を支払いましたが、おトクなことに変わりはありません。
というわけで新得駅に到着。普通列車しか停車しない駅を含めても10駅程度の区間でも2時間近くかかるので、いかに北海道が広いかということですね。
1日目の宿泊地はこの「Cafe宿屋 ARUKU」。
本当はもう少し駅に近い「宮城屋旅館」や、「民宿サホロハウス」などが候補だったのですが、なんと予約が一杯ということで断られてしまいました。
この翌週には「新得新そば祭り」が開催されるので次週に満杯になるなら分かりますが、普段からそんなに盛況なんでしょうか。それともこれも廃線特需というやつでしょうかね???
ここは素泊まりで4600円が通常なのですが、新得町では「知っトク割」なる補助金制度が9/30(金)まで行われておりまして、今回はなんと2000円引きの2600円で泊まれました。
まあ本当に泊まるだけなので、Q1の「今回の宿泊・体験の感想」に正直書くことが無くて困りましたが・・・。
部屋の設備は簡素で、バスタオル・歯磨き用具といったアメニティが無いので注意が必要。宿泊の際は持参しましょう。
本当は専門店で食べたかったのですが、めんどくさくなって駅前のスーパーでそばのお土産を買って済ませました。今度来たときは絶対店で食べます。
2.9月19日~旧狩勝線を徒歩で巡りながら北上~
まずは新得駅。
新得駅
(※前日に撮った写真も混在しています)
台風こそ北海道まで届かないものの、その影響による悪天候は予想されていたところですが、ひとまず運良く雨は降っていませんでした。
洋風建築のお洒落な駅舎、そして商工会館が隣接されています。駅舎内ではその商工会によるグッズショップ、立ち食いそば屋が営業しています。
石勝線、根室本線帯広方面にはそこそこ本数がありますね。石勝線・新夕張~新得間といえば、特急列車しかないために普通乗車券のみで特急列車に乗れる特例が18きっぱーによく知られていますが、はっきり言ってあまりに使い勝手が悪いので、この特例を使ったことのある方は少ないのではないでしょうか。
一方富良野方面への代行バスは1日わずか4本。新得~落合の峠越え区間は隣駅にもかかわらず所要時間48分。時間的にも学生すら利用しているとは考えづらい区間になっています。
それもあってか落合始発富良野方面の列車も1本用意されています。
駅前には「北海道の重心」を知らせるヤジロベー型のモニュメントが設置されています。「北海道の真ん中」ならともかく、「重心」と言われてもだからどうした感が否めない気も・・・。
なお、実際の重心は大雪山系のど真ん中にあり、一般人がお手軽に行けるような場所ではありません。
駅前には私がお土産を買ったスーパー「フクハラ」や公衆浴場といった施設があります。「秘境トムラウシ」と看板に書いてある通り、お湯はトムラウシ温泉から持ってきているのだとか。
ここに来て初めて「ポケふた」の存在を知りました。その名の通りポケモンをあしらったマンホールの蓋で、1市町村につき1枚が設置されているようです。また、基本的に「都道府県を代表するポケモン+α」の組み合わせのようですね。ちなみに北海道代表はロコンです。
北海道は34市町村で最多、と思いきや宮城県が35全市町村で設置しており全国最多でした。全体的に東北、九州で多いようです。
このミニレールは何に使われているんだろう・・・。
次来るときは絶対ちゃんとした店で蕎麦を食べるんだ・・・!
と決意をして歩を進めます。
SL広場~狩勝ポッポの道
10分ほど歩くとSL機関車が展示されている広場に着きます。
ここが旧狩勝線の路線跡を遊歩道に転用した「狩勝ポッポの道」の始点となっています。
石勝線は山を突っ切って建設された路線のため、トンネルが非常に多いことで知られていますが、中でもトマム~新得間は直線かと思いきや、新得に近づくとグニャグニャと曲がる独特の線形をしています。
今でこそ根室本線・新得~落合間と石勝線の新得~トマム間の一部は共用区間として使われていますが、前者はかつて現在の国道38号線近くを走っておりました。この旧ルートを俗に「旧狩勝線」と呼んでいるわけです。
動画のように廃線後は脱線の実験が行われた旧狩勝線ですが、それも40年前に役目を終えてしまい、
現在は線路は全て撤去されてしまっています。
遊歩道には所々に根室本線時代の遺構があります。
が、距離が長い割にそこまで数が多いわけではないので個人的には微妙だったかな・・・。
前日までに降った雨で地面はベチョベチョ、スニーカーの中はあっという間に水浸しになり、おまけに暑くて半袖シャツ+インナー着ただけ、という格好で歩いていたら蚊の大群にインナー越しに腕を刺され放題やられてしまったので、じっくり見ながら歩くどころではありませんでした・・・。
道中では始発の代行バスを見送りました。4本の内の貴重な1本です。
旧新内駅
狩勝ポッポの道に入ってから約10km、時間にして約2時間半歩くと、ようやくゴールに到着。旧新内駅跡地です。
かつて使われていた駅舎、機関車、寝台車が当時のまま保存されています。
寝台車を利用した旧狩勝線の資料展示、さらには寝台車に宿泊するイベントも開催されているようです。ミュージアムは年中開いているというわけではないようで、今年は9/24(土)・25(日)、10/8(土)・9(日)のわずか4日間、しかも先着順で予約した人のみ来場可能という形式を採っていました。
1週違いということで今更ながらなんかもったいない気がしてきた・・・。
もし来年以降の入館を希望するのであれば、下記サイトで情報を確認してみてください。
ミュージアムは開いていること自体がレアですが、ここにはもう一つアトラクションがあります。
それがこちらの「エコトロッコ」です。
ペダルを漕いで実際のレールの上を走る、というものですが、美深のトロッコと違って運転免許証が無くても運転できます。私も免許を取ったので美深の方も運転できるようになりましたけどね。
まあせっかくなので私も1回700円を払って乗ってきました。
本物の警笛も使えるなど結構本格的で楽しかったです。
こちらは9時半営業開始なのですが、開始したあたりですぐに家族連れが、さらに私が乗っている最中にもカップルや別の家族連れがやって来るなど、意外にマイナー観光地というわけでもないみたいです。
あるいは近くのサホロリゾートに宿泊した客が来ているのかもしれません。
そして併設されたグッズショップでは、国鉄時代に使用されていたバッジや犬釘、硬券入れ、駅員手帳などのグッズが販売されています。私も1個購入しました。
また、周囲にはカフェ、乗馬体験ができる牧場、朝ドラのロケセットがあります。
当時はカフェも牧場も開いていませんでしたが、開いていれば数時間は潰せるスポットになっています。
旧新内駅~大カーブ~新内隧道~
狩勝隧道~狩勝峠
サホロカントリークラブをスルーするといよいよ旧狩勝線の峠越え区間に入ります。
グネグネとした道が続き、鉄道で峠を越えることの大変さが伝わってきます。
看板には「線路跡」とありますが、途中でバラストに使われていた石らしきものがぱらぱらある以外は普通の山道といった感じです。
新内駅を出てから40分ほどでかつての名所、大カーブに到着です。
といってもちょっと開けた場所に看板が立っているだけ、という素朴なものになっています。写真を見ると、鉄路があったときは周辺の植物は生えておらず、そのときの眺めはどのようなものだったのか気になるところです。
それにしても、現在ではトンネルだらけの素っ気ない路線となってしまっていましたが、代行バスの存在によってかつて「日本三大車窓」と呼ばれた狩勝峠からの眺めが見られるようになったというのはなんとも皮肉なものですね。
この大カーブからさらに40分歩くと、新内隧道に到着です。
レンガ造りのとても立派なトンネルがお出迎えしてくれました。
明治38年は1905年ですから、実に117年もの間当時の姿を保っていることになります。さすがに傷みは激しいですが、建築技術の高さを我々に知らせてくれる遺産ですね。
その後展望台に着いて一休みしていると、背後から突然車がやって来てびっくり。
こんなところに車が来るんだなあと思っていると、中から鉄道ファンと思しき2人の青年が降りてきました。
青年「ここまで歩いてきたんですか?凄いですね!」
私「いえいえ・・・、というか車で来れるんですねここ・・・。」
青年「はい、とりあえず行けるだけ行ってみようってことで。」
確かに車で来れる道ではあるけど、レンタカーでこんな訳分からん道を進んでこようと思えるのはなかなか勇気あるなあと思いました。まあこんなことを言ってる私はこの後徒歩で来たことを後悔することになるのですが・・・。
程なくして狩勝隧道に到着。
先ほどの新内隧道と比べて明らかに保存状態が悪く、今にも崩れだしそうな見た目をしています。「新得側」と書いてありますが落合側からの入口を見ることもできるのでしょうか。
というのも・・・
パッと見で先に進めそうな道が無いんですよね・・・。
一応航空写真で見たら道らしきものはあったのになあ・・・
このまま歩いて引き返すしかないのかなあ・・・
なんて思っていましたが、
もしかしなくてもあの道らしき場所を通るしかないのか・・・。
整備されてないように見えるけど・・・。
これだけ見たらちゃんと整備されてるように見えますが、実際は一部四つん這いにならないと厳しい急斜面で、雨で湿った地面と合わせてガチで遭難を覚悟しました。
しかも意外に距離があり、格闘すること20分。ようやく平らな地に出てきました。
ここがあの狩勝峠かー・・・、って何も見えねえ。悪天候のせいで靄がかかってしまっていました。
常に4,5人程度が入れ替わり立ち替わり展望台にやって来ていてそこそこの盛況ぶりです。
それなりに人はいるのに、展望台の反対側にある売店は閉鎖されており寂しい有様。トイレと自販機のみが健在です。
検索してみると2011~2015年の間に閉鎖されてしまったようです。
ちなみにここにバス停は無いので、ここまで来たらどのみち歩いて落合駅まで行くしかありません。廃止後はここにバスが停まることはあるのでしょうか・・・?
このとき既に足が痛かったのですが、後で見ると足がふやけてマメが出来ていました。
こういうことがあるので、次から足の蒸れ対策もしっかりしていかなければいけませんね。
ところで、道中で時々見かけたこの植物、猛毒植物のジャイアントホグウィードにちょっと似ててドキッとしました。実際はオオハナウドという植物みたいですね。
そもそもジャイアントホグウィードは日本に自生していないはずなのですが、一時期話題になった「謎の種騒動」ではジャイアントホグウィードの種ではないかと噂になったりもしましたね。
この日2本目の代行バスに追い抜かれました。
最初に抜かれたのは「つたいバス」、今回は「ふらのバス」ということですが、自前のジェイアール北海道バスじゃないんですね。
落合集落~落合駅
狩勝峠展望台から2時間歩いてようやく落合の集落に到着。
全国にある「落合」という地名ですが、大抵複数の川が合流する(=落ち合う)場所であることが由来であり、ここもシーソラプチ川・ルウオマンソラプチ川が合流し、「空知川」となることからその名がついています。
跨線橋の下にあるはずの線路が全く見当たらない状況。
駅近くのもう一つの跨線橋から見ると、線路の状況がもっとはっきりと分かります。
まさに荒れるに任せた状態で、これでまだ営業中の路線だと言ってみても誰も信じないでしょう。
駅前通りには、かつての賑わいが窺える建物が静かに滅びの時を待っています。
調べてみると、10年くらい前までは「こいで百貨店」もまだ営業しており、カタカナの「オチアイ」と書かれている看板には「コインスナックオチアイ」と書かれており、現在ではすっかりマニアックな存在となった自販機コーナーがあったようです。
狩勝峠のドライブインにしても、ここのこいで百貨店にしても、10年くらい前まではまだ営業していたことを考えると、行けるときに行っとかないとどんどん無くなっていくことを改めて実感させられますね・・・。
落合駅前には南富良野町営バスと占冠村営バスが通っています。
南富良野町営バスは落合~東鹿越と下金山~幾寅を結ぶ2種類の路線が、占冠村営バスは占冠~落合経由~幾寅のトマム線と、占冠~金山~その他途中駅~富良野を結ぶ富良野線の2種類があり、これらのバスと根室本線を上手く組み合わせれば効率よく駅訪問を行うことが可能になりそうです。
ただし、南富良野町営バスは1日1.5往復でその他の時間帯は電話予約が必要なデマンド運行を行っており、占冠村営バスの方はトマム線が日曜日全線運休というそこそこハードルの高い代物となっていることに注意が必要です。
落合駅に到着する頃には雨が本降りになってきました。
それにしても一応まだ廃線になってないのにホーム立ち入り禁止というのは前代未聞なのではないでしょうか・・・。草ボーボーのホームと両入り口が封鎖された跨線橋は、誰が見ても廃線のそれなのですが、駅名標が健在であることが現役路線である証拠になっています。
不通・廃止路線でも状態の良いホーム・駅舎があったりしますが、人の手が入らないとあっという間に荒れ放題になっちゃいますねえ。
ベンチには座布団が敷いてあり座り心地は○。
前述の通り当駅始発の便があるためここから4.5往復になっています。
足にマメが出来てそのうえ雨が強くなってきたので、17:09発の次便で幾寅駅に向かうことにしました。
といっても次の列車まで1時間近くあるうえに、私の他にもう一人同業者らしきおじさんも待合室にいて気まずかったので、ちょっと付近を探索してみます。
駅前には先ほどの元コンビニを始め、集合住宅、消防署、駐在所、郵便局、そして2014年に閉校した元小学校があります。
看板が『小 学校』と不自然な文字間隔が空いているのは、元々『小中学校』だったのが、最初に中学校が統廃合のために閉校したからですね。
そうこうしているうちに17:09発東鹿越方面のバスが到着。
乗客は私と待合室にいたおじさんを含めて7、8人程度いましたが、隣の幾寅駅で降りたのは私だけでした。
馬鹿みたいに降っててくさ pic.twitter.com/HWXbPAOxfP
— 高岡氏 (@tk0k_) 2022年9月19日
幾寅駅に着いた時には土砂降りになっていました。
雨が降ると辛いのは足がえげつないくらい臭くなること・・・。しかも今回はホテルじゃなくて小さな民宿中心の宿泊だったので靴を洗う余裕が全くなかったんですよねえ・・・。
次からは靴に被せるカバーでも持っていこうかと思っています。
・・・長くなりそうなので、①はここまでにします。
次回②は9/20からスタートです。
ではでは。