こんにちは。高岡氏です。
長崎旅行part.3、島原鉄道廃線訪問編を始めていきましょう。
【2021年12月28日(火)】
元々この日は雲仙岳に登るつもりでいましたが、急遽予定を変更して廃線探訪を行うことになりました。そもそもこの日は雲仙温泉街に泊まるんだから雲仙岳には明日行けばいいじゃん!と思っていました。
でも今思うと雲仙岳に登れるわけなかったんですよね。
だってアイゼンや登山靴買ってなかったから・・・。
この旅行の前に登山グッズをいくらか買い揃えていたのですが、登山グッズマジで高過ぎてビックリしました。ズボン、手袋、インナーぐらいしか買ってないのに4万円ですよ?先日買ったSwitchとパワポケRの値段を遥かに超えてます。
そういうわけなんでここで廃駅探訪を急遽入れたのはむしろ正解でしたね。危うくやることなくて虚無になるところでしたから。
まあせっかくなので登山装備は長距離徒歩にも通用するのかお手並み拝見といきましょう。
まだ6時前ということで、島原港方面への始発は列車バス共に出ておらず、歩いて島原港に向かいました。
前日まで長崎も寒波に覆われていましたが、この日には去っていて運が良かったです。またそれを差し引いても登山装備のおかげで割と快適でした。4万使ったんだからこれぐらいはやってもらわないと困りますが。
島原港のフェリーターミナル付近では中学生だか高校生だかが合宿練習を行っていました。年末なのに精が出ますなあ。まあ弊社もこの日が昨年の最終出勤日だったんですけどね。
秩父が浦駅は前日に訪問したので、今回はその続きから巡っていきましょう。
駅数が20と少々多いので、今回から目次を使っていこうと思います。
見たい駅があったら↓のリンクから飛んでください。
目次
- 【安徳駅】
- 【ふかえ桜パーク】
- 【瀬野深江駅】
- 【深江駅】
- 【布津新田駅】
- 【布津駅】
- 【堂崎駅】
- 【蒲河駅】
- 【有家駅】
- 【西有家駅】
- 【龍石駅】
- 【北有馬駅】
- 【常光寺前駅】
- 【浦田観音駅】
- 【原城駅】
- 【有馬吉川駅】
- 【東大屋駅】
- 【口之津駅】
- 【白浜海水浴場前駅】
- 【加津佐駅】
- 【まとめ】
秩父が浦駅を出ると、線路は高架になります。廃止されたのは10年以上前なのにまだここまで残っているのはもはや驚きというよりよっぽどお金が無いのかと心配になってくるレベル。
【安徳駅】
廃駅としては珍しい高架駅の安徳駅。
といっても開業当初から高架駅だったわけではなく、元々地上駅だったのが雲仙岳の噴火をきっかけに移転して現在の場所に移ったとのこと。つまり移転してからの稼働期間は10年ちょっとしかない少し悲しい駅です。
珍しいは珍しいけど、廃駅巡りをするときはホームに上がれないからむしろマイナスかもしれません。
ちなみに島原鉄道の廃駅区間では、今のところほとんどの駅でホームに入ることができます。
構内の様子はこの先の坂を登って確認することができます。
さらに、坂の上からは東に有明海、西に雲仙の山々をバックに鉄橋という絶景を楽しむことができます。
ここがこの廃駅探訪一番のハイライトでした。
【ふかえ桜パーク】
橋を渡ったところにある「ふかえ桜パーク」には、雲仙岳噴火の復旧工事に尽力したD37型ディーゼル機関車がボロボロの状態で放置されています。
「静態保存」というと聞こえは良いですが、残念ながらまともに整備されているものの方が少数派でしょうね。もちろん風化していく様も味があって好きですが。
タラップに通じる道もこの通りなので、まさしく「放置」という表現が相応しい。
一応鉄道を使って全国を巡っている以上私も鉄オタの端くれと言って良いのでしょうが、車両に関してはさっぱり分かりません。
ですが「D37型」で検索するとここのディーゼル機関車しかヒットしないので、恐らく貴重なものなんだと思います。
さらに近くには道の駅と土石流被災家屋保存公園がありますが、かたや閉業、かたや工事中という間の悪さ。
土石流被災家屋保存公園ですが、その名の通り雲仙岳噴火による土石流に埋もれてしまった民家をそのまま保存した場所となっています。
噴火といえば、最近のトンガの噴火は凄かったですね。遠く離れた日本にすら津波が押し寄せるって原爆のエネルギーを軽く超えているレベルな気がしますがどうなんでしょう。
ちなみに、その件で神奈川県のエリアメールが深夜中鳴り響いたというある意味津波自体より恐ろしい出来事があったようですが、私は相模原市民なので被害を受けることはありませんでした。なおなぜか町田でエリアメールを受け取った民もいた模様。
【瀬野深江駅】
駅周辺を畑に囲まれており、堆肥の臭いが充満しています。
wikiによると駅周辺の畑はタバコ畑ということですが、これがそうなんですかね?
恥ずかしながら、タバコを畑で育てるものとは知りませんでした。
【深江駅】
駅名の上にデカデカと電話番号が書かれた駅舎が特徴。
どうでもいいのですが、1つ前の駅が「瀬野深江」駅で、こっちは「深江」駅。どちらも深江町にあるので名前としてはおかしくないのですが、こういう名前の付け方の駅ってあんまり無いような気がします(ちなみに瀬野深江駅最寄りのバス停は「瀬野」)。
普通に「瀬野」でも良いような気がしますが、現山陽本線の瀬野駅と被るのを避けたんでしょうか。
島原港駅を除いて廃駅区間最初の交換駅かつ有人駅(業務委託駅)。
手前の階段を降りて反対側ホームに渡るようになっています。島原鉄道の交換駅は基本この形態ですね。
ホーム上には雲仙岳噴火に関するギャラリーの跡があります。
写真が少し残っているだけでした。
鉄路の多くは入れませんが、普通に道路として使われていてバラストが残っている道も一部あります。
深江駅を過ぎると路線は再び海沿いに。
【布津新田駅】
元々待合室のみの簡素な駅だったため、現在はホームを残すのみ。
すぐ後ろには保育園があります。
上に国道が通っていますが、そこからだと遠回りになってしまうので注意が必要。
駅から300mほど離れたところに上述した国道との連絡通路があります。
【布津駅】
深江駅と違って丸みを帯びたフォントが用いられています。電話番号も書かれていません。右側に何やら数字っぽいものが書かれていますが、wikiの写真を見る限りは廃止後の落書きだと思われます。
窓口とトイレらしき入口は板で封鎖されています。
正面からだと板で覆われて見えませんが、ホームの窓から見ると窓口の様子がはっきりと分かります。
2面2線の交換駅。
反対ホームには待合室が置かれています。
【堂崎駅】
ベンチや立て看板が残されており、最も「当時のまま」感の強い駅です。
元々口之津鉄道の終着駅として作られた駅で、交換設備もあったようですがその面影はありません。右側の土台が設備跡でしょうか?
交換設備があったときの写真が↓のブログにありましたが、確かにこの時は終着駅の貫禄がありますね。
こういう謎落書きを見るのも廃墟の醍醐味ですね。
「記念に建物に落書きしたろ!」ってなる心情はよく分かりませんけどね・・・。
板張りトイレの裏側。
駅近くの商店街の看板、風化でほとんど店が潰れてしまったみたいに見えるのよくない。
まああながち間違いではないのでしょうが・・・。
【蒲河駅】
1面1線の棒線駅。
普通過ぎて正直なんともコメントしづらいです。
(蒲河駅に到着するちょっと前)
昼食タイムは「プラサード」というカレー専門店です。
島原産の野菜やお肉を使用した地産地消のお店です。
主なメニューは
・日替わりカレー1種
・日替わりカレー2種盛り
・カツカレー
となっており、この日は2種盛り(1080円)を頂きました。
例によって写真はありません。
【有家駅】
駅名標が残っている数少ない駅。
「うげ」だと八戸線の駅ですが、こちらは「ありえ」。駅メモの駅ノートが「有家な~い」で埋まることは請け合いですね。
南島原市の中心駅なだけあり、バスターミナルを兼ねた大きな駅舎です。
バス路線のほうはもちろん現役ですが、乗車券の窓口販売はやっていません。
島原鉄道線内の、
・幸(さいわい)駅
・愛野駅
・吾妻駅
という縁起の良い3つの駅名を組み合わせた「幸せ記念乗車券」。
島鉄内の有人駅とYahoo!ショッピングで買えていたようですが、現在Yahoo!ショッピングの方はリンクが切れてしまっています。
島鉄のHPを見てもあまりPRしてないみたいですね。
現在のお値段は570円で、ちょうど幸駅から吾妻駅までの普通乗車券と同じ値段となっています。
「補習あり運行」というのがいかにも地方のバスって感じでいいですね。オンライン授業が地方でも当たり前になったらバス・鉄道会社は死滅してしまうでしょうね。
ユニークな企業看板。
島原名物手延べそうめんを製造している会社です。
せっかくの名物なのに1個もお土産に持って帰らなかったことをちょっと後悔してます。
市役所の一角にふんどし一丁の男の像が建つなかなかやべー絵面(本当は正面から撮りたかったけど歩道が無かったので・・・)。
この大男は島原に伝わる伝承「みそ五郎やん」として知られており、秋には「みそ五郎まつり」なる行事の際に町を練り歩くのだとか。
【西有家駅】
この市役所の最寄りが西有家駅。駅舎で「そうめんの町」をアピールしています。
ちょっとした資材置き場に使われているホーム。
1面1線の棒線駅ですが、実は廃止区間の中で最も乗降者数の多い駅だった模様。
近くにある島原翔南高校の生徒が多く利用していたのでしょうね。
「町」の残骸。いやもう捨てなさいよ。
私もティッシュ使ったあとその辺に放り投げてることあるんであまり人のことは言えませんが・・・。
駅周辺には、廃止区間で唯一踏切の警報器が撤去されずに残っている場所があります。
これでもかと言わんばかりにそうめんをプッシュしています。
【龍石駅】
国道側から見るとただのバス停のようですが・・・?
反対側に渡るとホームがお目見えします。
駅とバス停が一体化したような格好です。
廃止区間の中では最も海に近い駅ですが、古部駅や大三東駅を見た後だしなあ。
さらにすぐ後ろを車がビュンビュン通り抜けていくので風情という点でもこの2駅には勝てませんね。
【北有馬駅】
典型的な島鉄の交換駅。
駅周辺にはスーパーや飲食店などが軒を連ねます。
ドアの穴から携帯を入れて撮ってみたけど結局何の建物なのかよく分かりません。
【常光寺前駅】
周囲を田んぼに囲まれた駅。
4枚目の奥の方に駅名の由来となる「常光寺」があります。
北有馬駅とは川を隔てて800mしか離れておらず、頑張れば駅前の道から北有馬駅を目視することができます。
なお、北有馬駅から先の下り区間は、8区間中5区間が1km程度と非常に駅間が近くなっています。この駅数の多さも廃止の要因かもしれませんね。
ちなみに上のスクリーンショットはアプリ『テクテクライフ』のものです。駅メモにも収録されていない廃駅が地図に登録されているため、塗りつぶし以外にも廃駅探訪の際に意外に役立ってくれます。
【浦田観音駅】
何もない所からいきなり現れたような駅です。最初駅の存在に本当に気付かなかった。
ホームがやたら広いですね。
線路跡の工事はサイクリングロード転用のためでしょうか。
写真撮ってる間向かいの家の犬にひたすら吠えられまくってたので戦々恐々でした。
世の中の犬派の人に言いたいのですが、田舎道を歩く機会が多いとマジで犬が嫌いになりますよ。不審者呼ばわりされているようで嫌になります(人通り少ない道をクソデカリュック背負って歩いてる人間いたら普通に不審者か・・・)。
とにかく、犬か猫かと訊かれたら猫一択ですね。
駅の入口にある店では、浦田観音にちなんだ「おっぱいパン」なるちょっと買うのを躊躇してしまうネーミングのパンが販売されています。ちなみに乳首の部分は砂糖でした。
その他の種類のパンも1個100円という安価で買えるので、駅巡りのお供におひとつどうぞ。
【原城駅】
西有家駅が「そうめんの町」をアピールしていたのに対し、こちらは「史跡の町」をアピールしています。日本史で有名な島原の乱で一揆軍が籠城した「原城」が近くにあることに由来します。
窓口が板張りになっているパターンはありましたが、ここは駅構内に入る入口自体が封鎖されています。
隣接する飲食店の駐車場として利用されているので、私みたいな訪問者が車で来るのを防いでいるんでしょうかね。
あとは駅のすぐ前にある小学校の影響もありそうです。
構内の様子を見ること自体は可能です。
原城駅を過ぎたあたりからサイクリングロード整備に向けた工事が本格化してきます。
というかこの記事を書いている頃には工事も終わりですね。どうなっているのか楽しみだなあ。
【有馬吉川駅】
1面2線の駅ですが廃止の10年前には交換設備が撤去されていた模様。
見ての通り訪問時も普通に工事をしており、邪魔になると悪いし日没も迫っていたので、最低限の写真だけ撮ってさっさと退散しました。
ダンプカーがギリギリ乗れる程度のホーム幅。
廃止になった路線の完成記念碑を見ると、「この路線も完成したときは歓迎されてたんだよな・・・」とセンチな気分になります。まるで私たちのようですね。
有馬吉川~東大屋間は廃止区間のみならず、全区間合わせても最長の4kmとなっています。島鉄の駅間の短さがよく分かります。
いよいよ日没のタイムリミットが迫ってきた上に、途中で片側交互通行に遭遇。
さすがに交通の妨げになりそうで嫌だったので、仕方なく東大屋駅の最寄りまでバスを2区間1.7kmだけ使うことにしました。(まあ不可抗力ですよね???)
【東大屋駅】
まだ日が沈み切っていないのでどうにかまともな写真を撮れました。
wikiによるとこの駅が乗車人員ワースト2、降車人員ワースト1ということですが、駅周りの景色的に常光寺前駅辺りが来そうだと思っていたのでちょっと意外な感じでした(実際は2倍以上差があります)。
【口之津駅】
跡地がバス車庫として利用されているため、すっかり跡形も無くなっています。むしろ跡形もない駅がここしかないというのが島鉄のすごいところ。
しっかりサイクリングロード化されています。
口之津駅のシンボル的存在がこちらの「ベイガ船長」。大航海時代、口之津港に最初に入港した実在の人物の名前から取られています。
ゆるキャラとしても活動しており、「日本一背の高い歩行可能なゆるキャラ」を自称しているそう。なお中の人も辛いらしく出番は少なめだとか・・・。
【白浜海水浴場前駅】
ここでもホームに上がらせてくれない駅の登場。
駅名の通り、駅の前には海水浴場が広がっていますが、高校の最寄り駅ということもあってか定期利用客が9割以上を占めており、海水浴のために使っていた客は少なそうです。
もっとも今って海水浴に鉄道使うイメージありませんよねえ。
【加津佐駅】
駅・・・と言っていますが暗くて進入禁止の看板しか見えなかったので、びびってそれ以上中に入るのをやめました。
到着時間が18:50で、雲仙温泉まで接続している最終バスの出発が19:18発だったので割とギリギリでした。原城駅辺りから早足を意識したため足がパンパンです。
【まとめ】
というわけで、島鉄廃線区間35.3kmをほぼ徒歩で訪問しました。
感想としては、駅間が平均2km程度なので、長距離徒歩でありながらモチベーションの保ちやすい路線でしたね。ただしその駅の多さ故に、観察していると思わぬ時間を食ってしまうなあと感じました。
何より、雲仙の山々の壮大さと有明海の煌めきを両方感じられる非常に贅沢な路線でしたね。次来るときは手延べそうめんを買って帰ります。
島原鉄道編が長くなったので、雲仙編はpart.4に分けます。
ではでは。