こんにちは。高岡氏です。
先日、衝撃的なニュースが飛び込んできました。
「元」とはいえ総理大臣経験者が白昼堂々殺害されるという、歴史の教科書に載っていたような事件が、令和のこの時代に日本で起こってしまいました。
コロナ騒動にロシアのウクライナ進攻、そしてこの事件と、人類はどんなに物質的、経済的に豊かになろうと根本的な精神性は全く変わらないのだなあと思わされる出来事ばかりです。
さて、このような大事件が起こりしばらくすると、当然メディアの興味は加害者の生い立ちの話に移っていくわけですが、加害者の犯行動機は「特定の宗教団体への恨み」で、その「宗教団体」は「統一教会」ではないか、という話が出ているではありませんか。
いつかは文章にしてまとめたいなあ、と思っていたタイトルの話ですが、統一教会の話が出てきたということで、不謹慎ながら潮時かなと思ったのでお話ししていこうと思います。
といっても、核心に触れるような話はしないしできないので(そもそもそこまでズブズブな関係まではいかなかった)、あまり期待をせず、あくまで「カルト宗教」の実態のほんの一部程度だと思って読み進めてもらえると幸いです。
そういうわけなのでこの記事が何かしらの圧力を受ける、なんてことはまずないでしょうが(そもそもそんな影響力なんて無いでしょうが)、一応危なそうだと思ったら非公開にします。
目次
大学入学~サークル決め
さて、以前ちらっとお話したのですが、私は中央大学法学部法律学科に在籍していました。ここの大学・学部を選んだ理由は特にありませんが、強いて言うなら「受かった中では一番賢いと思われそうだったから」というふざけた理由です。
そもそも文系の癖に世界史が一番面倒臭くて嫌いだった人間が法学部に入ったこと自体意味不明で、入ったはいいものの当然勉強する気は全くといっていいほど起こりませんでした。(もっとも、法学部では多くの科目が試験一発勝負、ゼミは必修ではない、卒論はやらなくていい、と結局のところダメ学生にとっては一番都合のいい環境であったことはまた別のお話・・・。)
そういうわけで私も、多くの日本の大学生の例に漏れず、
「大学生になったんだしサークル活動や遊びを謳歌するぞー!!!」
と考えていたわけですが、その考えは入学してすぐに崩壊することになります。
それは入学式を終えて多くのサークルが勧誘活動に熱を入れていた最中の出来事でした。学部棟から出た私はその先にある段差に気付かず足を踏み外し、なんと捻挫してしまったのです。
当然その状態でサークル探しのために歩き回るのは困難で、また私自身の元来の陰キャ気質もあり、結局勧誘活動が最も熱心な時期にどこのサークルにも所属することができませんでした。
突然話しかけてくる先輩
今でこそぼっちを特に何とも思わなくなった私ですが、これから本格的な一人暮らしをしに上京したばかりの大学1年生にとって、ぼっちがほぼ確定したような状況にはさすがに焦りがありました。
途方に暮れていた・・・かは分かりませんが、そんな焦りを見抜かれたのか、キャンパスを歩いていると、突然眼鏡をかけた穏やかな先輩(以下、眼鏡男先輩)に声を掛けられました。
「こんにちは!少しアンケートに答えてもらえませんか?」
・・・こんな感じだったかは覚えていませんが、少なくともいきなりサークル勧誘という形では無かったように記憶しています。今後も会話文については脚色が多分に混じることになりますがご容赦ください。
というわけでヒルトップ(中央大学の学食棟)に一緒に行き、アンケートを記入すると、
眼鏡男先輩「実は僕たちボランティアサークルをやっていまして、そのメンバーを募集しているんですよ。ご興味ありませんか?」
ぼく「ボランティアサークル?」
眼鏡男先輩「震災のボランティアにも行ってきたんですよー。」
ぼく(ボランティアかあ・・・。正直それ自体には興味あんまないけど、ついでに旅行とか楽しめそうだし何よりサークルに入れるならいっか)
というわけで、特に逡巡するでもなく了承しました。この前か後かは忘れたのですが、何やら10分程度の動画も見せられました。中身は統一教会に関するもので、意外にも宗教サークルであることを隠してなかったんですよね。
もちろん最初から宗教サークルである態で話しかけてきたわけではありませんが、新入生のぼっちに対する焦りが手に取るように分かっていたのでしょうか。それとも入った後から宗教サークルであることを明かしてトラブルになることを避けたのでしょうか。いずれにせよこんなあからさまな状況でもサークルに入ることを決意してしまうので、人間の心理って怖いなー、と思います。
眼鏡男先輩「おお、それは良かった!じゃあ入会届渡すからそこに必要事項書いてほしいのと、あと入会費として1万円払ってね」
今でも1万円というのは十分大金ですが、いわんや入学したての大学1年生にとってはもう全財産を失うんじゃないかというレベルの痛手です。ですがサークルってこんなもんなのかー、と何も知らなかった私はすぐにお金を払いました。
家に帰って友人にLINEでこの「ボランティアサークル」に入ったことを伝えると、
友人「それ宗教じゃね?」
まあ私も薄々、というか思いっきり宗教関連の動画を見せられていたので宗教系サークルであることは分かっていたのですが、そういうサークルに入ってみるのもそれはそれでいい経験になるかもしれない、と考えていた私は、
「怪しいと思ったら即抜け出すよw」
と軽い気持ちで返答し、そこで話は終わりました。まあ今でこそこの話は笑い話にできるのですが、下手したら「この友人の言葉が最終警告だったのです・・・」というホラー展開になっていたかもしれませんね。
サークル活動
というわけで、さっそくCARPでの活動開始です。
この「CARP」というのがサークルの正式名称で、
”Collegiate Association for the Research of Principles(原理研究会)”の各単語の頭文字をとったものとなっています。
偶然にも私が贔屓にしているプロ野球チーム、広島東洋カープと全く同じ綴りなので、サークル内での自己紹介時はこれをネタにして笑いを取っていました。今思えば風評被害なのかな・・・?
宗教臭を隠していなかったとはいえ仮にもボランティアサークルという名目だったので、ボランティア活動を中心にやっていくのかなと思いきや、毎回先輩が借りている(?)アパートの一室で統一教会の教えについての講義を受けていました。
私なりにノートを取ってそれなりに真剣に話を聞いていたのですが、今となっては内容を全く思い出せません。サタンがどうこう言ってたのだけ覚えてます。
どちらかというと夕飯やお菓子をご馳走してくれるのがありがたくて通っていた節もあります。夕飯は先輩の手作りが多く、1回だけ大学近くのバーミヤンでご馳走になったこともありました。
眼鏡男先輩以外にも特に関わりの深かった先輩が4,5人程度いたのですが、皆とても穏やかで優しかったです。既に大学を卒業した人も講師としてやってくることがあり、その人は毎回スーツでアパートに来ていました。今思うと彼は何の仕事をしていたのだろうか・・・。見た目は福岡ソフトバンクホークスの松田宣浩みたいな感じだったので、ここでは「松田さん」と呼ぶことにしましょう。
最終的にはこの松田さんがラスボスとして立ちはだかることになります・・・。
ひたすら講義聞いて飯食ってるだけのサークルなのか?と訊かれればまあそうなのですが、一応それ以外にも朝からサッカーをやる(自由参加)という活動もありました。
このサッカー自体は特に変わったところもない、何の変哲もないものです。
――――――――ただ一点、
事あるごとに「皆のためにぃぃぃぃぃ!!!!!!限界突破ぁぁぁぁぁ!!!!!!」と叫ぶ通称「全力サッカー」であるという部分を除いては。
これだけでもまさにカルト集団であることが十分に伝わると思います。どっかのブラック企業の研修でもやってそうな行事ですね。ですがこれ、やってみると意外に楽しいんですよ。出場した試合ではなんだかんだアシストを決めたりして盛り上がりました。
さて、ここまで見ていただけると分かると思うのですが、ぶっちゃけ居心地はめちゃくちゃ良かったです。優しい先輩に飯、そしてなんだかんだ楽しいサッカー。宗教サークルではあるけど特にヤバい活動もしてないし、4年間ここでだらだらするのもアリかもなあと思い始めていたとき、遂に”サタン”は本格的に動き始めました。
2Day合宿
ある日、いつものようにサークル活動をしていると、
眼鏡男先輩「高岡くん、ウチでは毎年5月に2日間の合宿をやってるんだけど参加してみない?」
と訊かれました。
合宿。これぞサークルの醍醐味というべきイベントです。当然私は二つ返事で了承しました。ここでも参加費1万円を徴収されました。
合宿会場は茨城県土浦市の「土浦研修センター(当時は土浦コアバリューセンター)」。以前にちらっと紹介したこともありますが、こんな外見をしています。
一応そのときの記事
このとき合宿でやったことは普段の活動と大して変わりません。
講義とその合間に「全力サッカー」をやりつつ、1日の最後には講義の内容の振り返りを1対1で行いました。ただ、合宿ということで他大学の学生も来ていたのか、普段と違う人と交流したのは新鮮な気分でした(といっても話題は宗教絡みの話ですけどね・・・)。
あとは「デジタルデトックス」という名目でスマホを没収されました。今思えば当然脱走防止目的だったのでしょうが、当時の呑気な私は
「ソシャゲの連続ログイン途切れちゃうじゃん・・・」
ぐらいにしか思ってませんでした。確か夜にはちょっとだけ返してもらえてた気もしますがそこまでは覚えてません。
そんでもって何事もなく2日間の合宿の最後の振り返りの時間がやってきました。
ここで私の担当になったのが先述の松田さんでした。
講義の内容について一通り話し合ったあと、彼からは衝撃の一言が飛び出します。
松田さん「高岡くん、今回は2Day合宿への参加ありがとう。ここで大事な話があるんだけど、一年生には夏休みに40Days合宿に参加してもらうことになっているんだけど、参加するよね?」
ぼく「はいはい40日合宿ね・・・
って40!?!?!?!?!?!?」
このときは何かの聞き間違いかと思い確認しましたが、どうやら彼は本気で言っているようでした。だらだら楽しめればいいなあぐらいにしか思っていなかったのに、よりによって学生生活最初の夏休みに40日も拘束されたのではたまったものではありません。どうにかして断ろうとあれこれ言い訳をしてみました。
ぼく「えっでもぼく夏休みは地元に帰らなきゃ・・・」
松田さん「それなら大丈夫だよ。ご両親にもちゃんと説明してあげれば・・・」
ぼく「40日合宿ってさすがにお高いんでしょう?金欠なんで厳しいですね・・・」
松田さん「確かにちょっと高い(5万円)けど、絶対損はしないしこのサークルでやっていこうと思ったら絶対参加してほしいんだ」
こんな感じで、私が無理だと言うと「なんとしても参加してほしいんだ」の一点張りで全く譲ってくれる気配がありません。私も私ではっきり嫌だと言える性格ではないので、うだうだと「あー・・・でもなあ・・・」みたいな感じで嫌そうな態度を全面に出すもんだから全く話が進展しない、という地獄のような時間が繰り広げられました。
結局膠着状態が2,3時間くらい続いたところでようやく松田さんも折れてくれ、
「分かったよ、どうしても参加したくないならしょうがない。もし気が変わったらいつでも歓迎するよ」
と言い残し去っていきました。
今思えば、彼らの本拠地でスマホも没収されている中よく何事もなく解放されたもんです。
帰還、そして・・・
大学のある八王子に帰ってきて最初の講義で、先輩達から寄せ書きを貰いました。
内容は「2Day合宿お疲れ様!」というものでした。なるほど、あの場で松田さんが言っていた通り、合宿を経てようやく真の仲間だと認めてもらえるのでしょう。
私もこのときまではまだ、サークルには参加し続けていられるものだろうと思っていました。40日合宿はさすがに無理にしても、これからも「宗教サークル版けいおん!」みたいな感じでグダグダお菓子を食べながら教えを乞う、みたいな流れになると思っていたので。
ところが、その日を境に先輩から講義の誘いは全く来なくなりました。偶然キャンパスで先輩に出くわしたりもしました(眼鏡男先輩ではない)が、そのときも普通にサークルメンバーとして認知されていたので、本当にいきなり音沙汰が無くなったのです。
そこで家に帰って、40日合宿って何やるんだろうなあと思って調べてみると、
「見知らぬ家に行ってタオルだかなんだかを売って歩く訪問販売をさせられる」という話が出てきました。そして40日合宿が終わると、本格的に他の教団員との共同生活が始まり、そうなるといよいよ教団から抜け出せなくなる、という内容でした。
ここまで読んで、先輩方が優しかったのは所詮私を妙な商法に巻き込んで金儲けをさせるためだったんだと思うと途端に虚しい気分になりました。宗教関係なく良い友人としてやっていけるのではないかと心のどこかで思っていたので・・・。
「騙された」という怒りというよりは、サークルを通じて一生の仲間を得られると思っていた期待を裏切られて悲しかったというのが本音です。
結局その場でサークルメンバーのLINEを全てブロックして関係を切りました。これまた悲しいのが同級生は一人もいなかったので、傷を舐めあう仲間すらいないのでした。(当時多摩キャンでCARPに入ったアホは私しかいなかった、というオチだったら良いのですが)
ここから私のノンゼミノンサーぼっちキャンパスライフが始まっていくことになるのです。
まとめ
というわけで、私の大学1年生デビューのほんの2ヶ月程度に起こったお話でした。
確かに当時は裏切られた気分になったのですが、一瞬でも青春を味わえた気分になれたのでそこは感謝しているんですよ。こういう世界があるんだということも知れたし、勧誘のためとはいえ先輩たちに良くしてもらっていたのは事実ですし。それに今では話のネタにもなってますからね。感謝こそすれ恨みの感情は全くありません。
まあその前に勧誘された和楽器サークルとかに所属してたらもっといい人生になってたかもしれませんけどね!!!
ちなみにCARPを抜けた後どこのサークルにも所属しなかったのは、サークルがトラウマになったとかではなく単純に私が陰キャで勇気が無かったからです。
また、その後なんと同じ年に家にCARP団員と思わしき人物がやってきてアンケートをお願いしてきたのですが、そのときは勧誘を丁重にお断りしました。どんだけカモだと思われてたんだ、俺。
さて、コロナ騒動でオンライン授業が主流になった今宗教サークルの実態はどうなっているんでしょうね。昔以上に孤独を抱えた学生も増えているでしょうし、勧誘に引っかかる人は絶対増えているだろうと思ってます。
オウム真理教にも高学歴の構成員が多かったそうですし、こういうのに引っかかるのに学歴の有無は本当に関係ないんですよね。どんな人間にも必ずある心の隙を突いてくるのが本当に上手い。喪黒福蔵に引っかかる気分を味わいたい、会話の掴みになるようなネタが欲しいとか気軽な理由で入るとミイラ取りがミイラになるのであまりお勧めはしません。
まあ教団の教えに従っている限りは本当に「優しい世界」なので、なんでも良いから「居場所」が欲しいという方にとっては悪くないんじゃないかと思います。宗教を馬鹿にしている人たちが「まとも」かというとそんなことはないですからね。ぶっちゃけSNSで他人を妬んで悪口大会に明け暮れるよりはよっぽど充実した日々が送れると思いますよ。
ではでは。